テヨン、ティファニー、ソヒョンによる、少女時代のサブユニット、少女時代-テティソが4月29日にデビューした。
ミニアルバム「Twinkle」は4月29日から全世界一斉配信開始、CDは一足遅れて5月2日発売と、完全に配信に軸足を置いたリリース方式になっている。
従来から少女時代の「歌」を支えて来たのはテヨンとソヒョンで、第二グループがジェシカとユリ、そこにサニー、ティファニーが色を添え、ユナ、ソヨン、ヒョヨンの三人は歌よりもビジュアルとダンスで貢献するのが常だった。
「Twinkle」は「Run Devil Run」以降の少女時代の延長線上にあるのだが、このメンバー構成になったことで音楽面での制約がかなり軽減されたのは確かだと思う。そろそろ韓国内では第二次ガールズグループブームが収束に向かっているようで、少女時代といえども安閑としてはいられないということなのかも知れない。
その割には、と最初聞いた時に思った。
結構いい曲だとは思うし、メンバーが伸び伸び歌っているのも心地いい。
だが、何か物足りない。心にひっかかるものが余りにもない。敢えて言うなら、気持よく「聞き流せてしまう」のだ。
そして、NAVER MUSICで「Twinkle」の紹介文を読んで何となくその理由がわかった気がした。
SMEから提供された資料にそう書いてあるのだと思うが、「Twinkle」の紹介文は通販サイト等々どこを見ても「Jam Factory所属の作曲家であるBrandon Fraley、Jamelle Fraley、Javier Solisなどが参加し、1970〜80年代のスティービーワンダースタイルの音楽を連想させる」とか何とかそういう表現で統一されている。スティービー・ワンダースタイル云々は寝言の類としてさっくり無視することにして(長年のソウルファンは少々違和感を感じる寝言ではあるのだが)、キーワードはJam Factoryだ。
Jam Factoryは韓国を中心とする東アジア諸国のアーティストへの楽曲提供を主たる業務とする韓国の制作会社である(ほとんどは韓国)。元々は版権管理会社だったようで、海外の作曲家の楽曲を使用する際の法的な手続きを代行したりしているうちに、個々の作曲家と契約して制作会社になってしまったのかも知れない。
少女時代の「Oh!」や「THE BOYS」の収録曲も過去に手がけたことがあり、提供楽曲の総数は1,000曲を超えるそうだから、Jam Factoryの手がけた曲はそれと気づかずに聞いていることが多いと思われる。
少女時代は「Genie」でもスウェーデンのD|Sign Musicを起用していて、初期の段階から無国籍なK-POPを志向していた節があり、Jam Factoryのような会社とは親和性が高いのかも知れない。だが、Jam Factory所属の作曲家のうち、欧米組は全員がほぼ無名に近い状態で(韓国の作曲家は当然韓国での知名度がある)、常々SMEが言っているような「ワールドスター」という大風呂敷にはそぐわない感じだ。
また、音楽面においてその無国籍っぽさは「Genie」を超えるものではなく、無難に卒なくまとまった印象ばかりが強くなっている。
はっきり言ってしまえば、Jam Factoryは「アメリカっぽさ」を韓国に売っている会社であって、いかにもアメリカで通用しそうな(実際はさほど通用しない)楽曲を用意するとともに、アメリカで売ろうとした時のカルチャーギャップを軽減するという役割しか果たせていない。そもそも、本気でアメリカで売ることを考えていたら、Jam Factoryに発注するという選択自体が有り得ないのだ(Jam Factory所属のアメリカ人作曲家たちに、アメリカでヒットする曲を作れる才能があるならわざわざ韓国の会社と契約する必要はないだろう)。
「アメリカデビュー!」とか「アメリカ◯◯チャートで1位!」といった宣伝文句が高い効果を上げた例は日本にもあるが、大抵は完全な捏造であったり、チャート集計の穴を狙った数字のマジックだったり、あるいは組織票が動いていたりしたものだ。実際にそれで売れるのだから、その種の宣伝活動自体は否定されるべきではない。
だが、そういう販売戦略を取っていることから考えれば、「Twinkle」の主要販売先はアメリカコンプレックスを刺激する戦略が効果的な地域と判断せざるを得ないわけで、「ワールドスター」などという夢物語は当のSMEすら真剣には考えていないことの証左だと思う。
「Twinkle」は売れるだろうが、それは少女時代が歌うことを前提としての話だ。例えばビッグ・ママのような、歌唱力でテティソを遥かに凌駕するグループが歌ったとしても、少女時代の半分も売ることはできないだろう。
また、最近の少女時代が多分に意識していそうなデスティニーズ・チャイルドが電撃再結成してこの曲を歌ったとしても、「デスチャにしてはね〜」程度の反応しかないはずだ。
音楽を売ることは年々難しくなって来ているらしい。
そんな中、数多くの若者たちが切磋琢磨して自らの技術を磨いているのがK-POPアイドルの世界で、特にその中でも群を抜いて磨きに磨いたグループが少女時代だ。
彼女たちを売る側は、果たして彼女たちの努力に見合うだけの知恵と工夫を出しているのだろうか。
今回のような販売戦略はそう何度も使えるものではないし、一度広げてしまった大風呂敷を畳むのなかなか厄介な作業だ。下手をすると、来年の今頃は伝説のまま消えるか、先細りの道をひた走るかの選択を迫られることになっているかも知れない。もしかしてそれを見越してのサブユニット結成だったのか?
「Twinke」のCDを予約しているにも関わらず、オンライン公開と同時に速攻でダウンロードして聞きながら、そんなことを考えてしまった。
VIDEO ティーザー動画は3パターンあるのだが、趣味でソヒョンバージョンにしてみた(笑)。